TOTOのSDGsは限りある水資源を守り、きれいで快適なトイレを世界中に広めています。
TOTOは国内シェアの約6割を占め、陶器製の水栓トイレを最初に開発したメーカーであり、トイレ業界第1位の企業がTOTOです。温水洗浄便座の名称である「ウォシュレット」はTOTOの登録商標です。
そんな日本を代表する企業であるTOTOが取り組むSDGを見ていきましょう。
記事の内容
TOTOとは?どんな会社?
TOTOは福岡県北九州市小倉北区に本社を置く、衛生陶器をはじめとする住宅設備機器などの製造販売を行うメーカーです。
森村グループの一員であり、東証プライム上場の日経平均株価採用銘柄です。
旧社名は東洋陶器。1970年3月1日の東陶機器への社名変更を経て、2007年5月15日に従来商標・ブランドとして用いてきたTOTOを正式社名に変更しました。
概要
日本ではトイレ、洗面器などの衛生陶器で約6割のシェアを誇り第1位の企業です。ユニットバスを最初に発売したのもTOTOです。
技術面ではウォシュレット(温水洗浄便座)のほかにも、便器の汚れを効果的に落とす「トルネード洗浄」、防汚技術の「セフィオンテクト」、お湯がさめにくい「魔法びん浴槽」など意欲的に取り組み、各賞受賞商品も数多く開発しています。
バリアフリーやユニバーサルデザインについての意識は国内企業の中でも高く、様々な商品を投入するとともにウェブサイト上でも広く展開をしています。
また、障害者雇用のために北九州市などと共同で第三セクターの子会社(特例子会社)サンアクアトートーを設立して、社会進出の手助けも行っています。
リモデル事業にも取り組んでおり、同分野では大建工業やYKK APの両社と提携、3社共同のショールームがあります。
ライバルであるINAXがトステムと経営統合して住生活グループとなったこと(現在はLIXIL、INAXはその1ブランドとなった)に対抗したものとなります。
★TOTOグループの企業理念★
企業スローガン
- あしたを、ちがう「まいにち」に。
企業理念
- 私たちTOTOグループは、社会の発展に貢献し、世界の人々から信頼される企業を目指します。
ミッション
- 水まわりを中心とした、豊かで快適な生活文化を創造します。
- さまざまな提案を通じ、お客様の期待以上の満足を追求します。
- たゆまぬ研究開発により、質の高い商品とサービスを提供します。
- 限りある資源とエネルギーを大切にし、地球環境を守ります。
- 一人ひとりの個性を尊重し、いきいきとした職場を実現します。
TOTOが取り組むSDGs
マテリアリティ
TOTOは企業の『マテリアリティ=重要課題』として下記3つに組りくむことでSDGsに貢献しています。
- ・「きれいと快適」
- ・「環境」
- ・「人とのつながり」
それぞれご紹介していきます。
きれいと快適
事業を通じ「きれいと快適」を実現することにより、SDGsに貢献する。
- ・きれい・快適を世界で実現する
- ・つくるって、人を思うこと。TOTOのユニバーサルデザイン
- ・楽しく健康を維持(ウェルネス)
- ・タッチレスで清潔
- ・お客様に期待以上の満足を(リモデル)
環境
事業を通じ「環境」を守ることにより、SDGsに貢献する。
- ・限りある水資源を守り、未来へつなぐ
- ・カーボンニュートラルに向けた取り組み
- ・地域社会とともに、持続的発展を目指す
- ・環境リスクの回避
- ・生物多様性も配慮したCSR(Corporative Social Responsibility)調達
人とのつながり
事業を通じ「人とのつながり」を築くことにより、SDGsに貢献する。
- ・人種への配慮
- ・多様な人材の活躍(雇用の維持)
- ・お客様と長く深い信頼を築く
- ・株主・投資家の皆様とのエンゲージメント
- ・次世代のために、文化支援や社会貢献を行う
具体的には「きれい・快適を世界で実現する」では独自のクリーン技術、きれい除菌水やタッチレスなどの技術でゴール3の「すべての人に健康と福祉を」に貢献しています。
「環境」では節水技術により少ない洗浄水量で快適に使えるトイレの開発で、ゴール6の「安全な水とトイレを世界中に」につながっています。
きれいで快適なトイレを世界中に
TOTOは「きれいと快適」のテーマのもと、以下の二つを世界の目指す姿としています。
- きれい・快適を世界で実現する
- すべての人の使いやすさを追求する
「きれい・快適を世界で実現する」
忙しくてもきれいなトイレを保ちたい!
外出先でも清潔なトイレを使いたいし……。
といった要望に対してTOTOは「汚れにくく、掃除しやすいトイレを開発」。
より衛生的で快適なトイレ空間のためにTOTO独自のクリーン技術である「きれい除菌水」「セフィオンテクト」「フチなし形状/トルネード洗浄」を提案しています。
- 除菌=きれい除菌水 → 黒ずみのもとになる「菌」を除菌して、きれいを守る
- 防汚=セフィオンテクト → ナノレベルのなめらかな表面で汚れがツルッと落ちる
- 清掃=フチなし形状/トルネード洗浄 → 便器のフチをなくして、渦を巻くような水流でしっかり洗浄
他にも
海外でもウォシュレットを使いたい!
世界中に快適なトイレが増えるといいなぁ
といった要望に対しては「ウォシュレットの快適さをもっと世界へ」とし、積極的な海外展開を行なっています。
ウォシュレットの累計出荷台数は全世界で5,000万台を突破しており、現在は世界各地の5つ星ホテルや著名な物件への採用も増加。快適で清潔な日本のトイレ文化を世界中に広めています。
「すべての人の使いやすさを追求する」
トイレを使うすべての人を思って商品や空間を提案しています。
みんなが安心できるトイレが増えるといいな
といった要望には「さまざまな利用シーンを想定した調査と研究を行い、使いやすいトイレを提案」しています。
乳幼児連れの方や障がいのある方、性的マイノリティの方などが外出先でトイレを使用する際の困りごとを調査し、さまざまな状況に配慮したトイレ空間の提案を行っています。
また、こうした知見を活かして誰にでもわかりやすい操作ボタンを目指し、ISOなどの世界共通規格の制定にも貢献しています。2006年に設立したUD研究所を中心に、全社でユニバーサルデザイン活動も展開しています。
混雑する観光地や慣れない旅先でも快適なトイレを使いたい
といった要望には「観光客の悩みに応える『おもてなしトイレ』づくりに参加」しています。
近年、観光地では旅行者に向けて、快適で使いやすいトイレを整備する動きが官民ともに加速しています。
TOTOは専門知識を活用し、すべての人が使いやすい「おもてなしトイレ」の設計に協力、提案活動を推進しています。
こうした取り組みからうまれたトイレや自動水栓の紹介
TOTOは現在も新しい生活習慣を見据え、安心して利用できる衛生的なトイレ空間づくりを追求し続けています。
そうした中、より望ましい手洗い行為のために公衆トイレの手洗い場に求められていることを調査しました。
調査から明らかになったことは非接触で使用できる器具が好まれていることでした。
事例①ウォシュレット一体形便器の「オート洗浄」機能・「オート開閉」機能
便座のふたなどに直接触れずに、開閉。用を足した後はセンサーで感知し自動で便器を洗浄、ふたをしめるオート洗浄・オート開閉機能を備えた便座へのニーズ。
事例②自動水栓や自動水石けん供給栓のような、非接触で使用できる器具
コロナウイルス流行後の行動変化を受けた、蛇口やディスペンサーに触れることなく手洗い、消毒・石鹸が出てくる器具への需要の高まり。
これらの新しい要求やニーズにもTOTOは対応し、商品を見直しながら快適なトイレ空間づくりを追及しています。
シェア第一位であるTOTOのSDGsは業界全体の手本となる
業界第一位のTOTOが取り組むSDGsを見てきました。
企業のマテリアリティにSDGsがうまく取り込まれているのが印象的です。
企業として優先すべきことこそがSDGsであり、SDGsを推進することによってTOTO自身もまた新たなニーズや課題を発見し、その克服によって企業成長していくという好循環。
企業にとってSDGsはかくあるべき、といった姿を見せたTOTOのSDGsは業界全体が模倣すべき良いお手本といえます。