ワルカタワーで一躍有名になったワルカウォーターは、現在アフリカを中心に活動しています。
他のNGO法人や非営利団体の活動とは、一味違う活動内容はエコと優しさに溢れています。本記事でワルカウォーターの活動が広まれば幸いです。
記事の内容
ワルカウォーター(Warka Water)はどんな団体?
ワルカウォーターはイタリアの建築士であるアルトゥロ・ヴィットリ氏が設立した非営利団体です。
元々はアフリカの水不足を解消するプロジェクトネームだったようですが、世界から注目されたプロジェクトはそのまま団体の名前として使われています。
2012年にアフリカを訪れたアルトゥロ・ヴィットリ氏は、水不足によって子供や大人が危険な暮らしをしている状況を体感し、ワルカウォータープロジェクトを開始したのが発端です。
活動拠点と目的
ワルカウォーターは主にエチオピアを中心に、カメルーン・ハイチ・トーゴなどでSDGsが普及する前から水不足の解消に取り組んでいます。
現在はSDGsの第6項「安全な水とトイレを世界中に」に焦点に当て、現地の物資や文化・技術を現代建築と統合した新たな伝統を作ると共に、安心できる飲料水の確保・衛生教育を実施しています。
また、地域の生態系や民族グループの関係を壊さないよう配慮していて、電気やガスといったインフラをあえて使わずに地域社会の経済活性化を目指す活動が特徴です。
ワルカウォーターが生んだ命の木「Warka Tower」
ワルカウォーターが世界中に認知されるきっかけとなった建築物がワルカタワーです。ワルカタワーは高さ10mと3階建に匹敵する大きさがありながらも、鉄やコンクリートを使わず「竹」を中心としています。
壺のような形状に組み立てられた骨組みには、蜘蛛の糸からインスピレーションを受けたバイオ素材の網が取り付けられています。結露という現象を利用して網に付着した水滴は、重力によって落下し水を溜める容器に流れるという仕組みです。
稼働には電気を使用せず、建設費用は日本円で10万円ほどと安価ながら、1日に約100リットルの水を生成できます。この革新的な技術と100リットルという成果は世界中の水不足を解消する画期的なシステムだと話題になりました。
ワルカの語源
聞き馴染みがあまりないと思われる「ワルカ」とはどのような意味を持っているのでしょうか。
ワルカという名前は、エチオピア固有の大きなイチジク科の木であるワルカの木から取られています。ワルカの木は大きな日陰を作るため、休憩や憩いの場所として馴染み深く、地域社会の中心・地域のシンボル・一種の神など現地の人にとっては重要な役割をになっている象徴的な木と言えるでしょう。
地域のコミュニティを維持・発展させたいという願いと、現地に馴染まれるようワルカタワーと名付けたのではないでしょうか。
ワルカウォーターが取り組むSDGs
ワルカウォーターは電気や建設機械を必要とせず、現地の人が独自に維持・管理ができるよう現地の材料を使った建築物が特徴です。
ワルカウォーターから発展したワルカ村と、技術や衛生プログラムの指導についてご紹介します。
ワルカ村の建設
ワルカ村はワルカウォーターが独自に構築した100人を受け入れられる規模に設計された統合コミュニティです。民族の根絶によって、現地の技術や文化が失われることは人類にとって大きな損失であると考えたワルカウォーターは、現地の技術と天然素材を中心として建築されたワルカ村を建設しました。
安全で安心できる居住区の建設によって、地域のコミュニティの場や、農業・医療・自然保全などプラットフォームとしての機能が期待されています。
技術や衛生プログラムの指導
建築などの職人を対象としたトレーニングスクールは建築技術の向上による運用・保全だけではなく、代々受け継がれてきた現地の技術を確実に繋いでいくことが目的です。
また、僻地に暮らしている子供たちの識字率(読み書きができる割合)は向上しているものの、金銭面でも問題や中学や高校へのアクセスが難しいという課題を持っています。
そこでワルカウォーターは、寄付金を元に現地政府と協力し、靴や食糧、勉強に必要な備品を調達し、学ぶ意志が高い子供には奨学金を提供しています。
ワルカウォーターのドキュメント映画を制作
ワルカウォーターは2019〜2021年にかけて行われていたカメルーンでの活動に密着したドキュメント映画を制作しています。映画は9つのエピソードに分かれ、合計60分で構成されています。
技術をひけらかすわけでも貧困であると憐れむこともなく、現地の人々を尊敬し、密接な関係を構築しながら助けになり生活を改善する様子が映されています。
飲料水を気兼ねなく得られる日本においては非現実的に感じるでしょう。興味がある方はぜひご覧になってみてください。
ワルカウォーターの目指す世界とは
ワルカウォーターはアルトゥロ・ヴィットリ氏を筆頭に、アフリカの僻地で活躍する非営利団体です。
現代の給水システムを利用せず、現地の人々に馴染みやすく管理ができるよう、現地の材料を中心として電気を使わない給水システムやプラットフォームが特徴です。
現地のコミュニティや技術を失わないよう、現代の知識と統合し、新たなコミュニティや経済活動を行えるよう教育面も支援した活動は、今後人類にとって大きな影響を与えるでしょう。