【完全版】下水つまりの原因や対処法と日頃からできる予防策を解説!

2020.11.02

下水は家庭から出る様々な汚水を排水するには欠かせない設備となっていますが、普段目にすることもないので、設備不良や故障の前兆をつかみにくい部分でもあります。

また、実際に下水つまりが引き起こされると、目に見えない部分なだけに原因の特定が難しいケースもあるのです。

そこでここでは、下水つまりが起こった際の対処法などに加え、日頃から出来る予防策やよくある下水つまりの原因のパターン等について紹介したいと思います。

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下水・下水管とは?

下水・下水管とは

洗面所・お風呂・トイレなど、家庭内から出る排水は、下水として処理施設に運ばれていますが、「下水管」がどの部分の事を指しているかを知っている人は、そう多くは無いことでしょう。

そこでここでは、まず「下水」や「下水管」について解説していきたいと思います。

家庭から排出される下水の種類

家庭から排出される下水とは、以下の排水が合わさったものを指しています。

下水 汚水 し尿 トイレからの排水
雑排水 ・キッチン
・浴室
・洗面所
・洗濯機等からの排水
雨水 道路や宅地等に降った雨

下水が排出される経路

家庭から排出される「下水」は、以下の表の①~⑦の経路をたどって処理施設に運ばれています。

なお、一般的に敷地内に敷設されているものを排水管、マンホールなど敷地外の道路側に敷設されているものを下水管と呼んででおり、敷地内の排水管は敷地の所有者が管理するようになっています。

排水経路 説明・分類等
敷地内 ①排水口 ・キッチン
・浴室
・洗面所
・洗濯機キッチン
・トイレ 等の排水口
②排水管 合流式配管 「雨水」を除く「し尿」と「雑排水」を同じ一本の排水管で排出する配管形式
分流式配管 「雨水」・「し尿」・「雑排水」をそれぞれ分類して排水する配管形式
③排水桝

排水管にゴミや汚泥が流れ込み詰まる事を防ための設備
排水管の曲点や合流部などに設置されている
分流式配管の場合以下の2つに分かれる
・雨水桝
・汚水桝

④取付管 排水桝と公共桝を繋げる排水管
公共下水道 ⑤公共桝 自治体が管理する排水桝
⑥取付管 公共桝と下水道本管を繋ぐ排水管
⑦下水道本管 合流式配管 下水と雨水を1本の下水管にまとめて流す方式
分流式配管 下水と雨水を、別々の2本の下水管で流す方式

一戸建てとマンションで異なる排水構造

一戸建て住宅とマンションでは、排水管の構造が異なっています。

また、排水構造によってつまりやすいものとつまりにくいものが存在しています。

縦管の排水構造(マンション)

マンション等集合住宅のような下水管は、各階の下水をまとめて排出するような形式となっており、主な下水管は縦方向に敷設されています。

こういった縦管の排水構造の場合、下水の排出時に上から下に勢い良く排出されるので、汚れが堆積しにくく排水管はつまりにくい構造となっています。

横管の排水構造(一戸建て)

一戸建てのような軒高の低い構造の建物は、横管の排水構造となっています。

排水管の敷設状況が構造的に緩やかな勾配にどうしてもなってしまうので、汚れが堆積しやすく、つまりを起こしやすいのが特徴的です。

また、傾向的に敷地が広くなれば排水管がつまりやすくなる事が多いですが、狭小住宅の場合でも、排水管の曲がりが多い・十分な勾配が確保されていないとつまりやすい傾向があります。

下水つまりとは

下水つまりとは

下水つまりを引き起こしやすのは、マンションよりも一戸建て住宅の方が多いのですが、具体的に下水つまりとはどの様な状態を指しているのでしょうか。

一般家庭における下水つまりとは、以下の様な状態を言います。

一般家庭における下水つまり

一般家庭における下水つまりとは、排水桝がつまった状態を指します。

排水桝とは、排水管にゴミや汚泥が流れ込み詰まる事を防ための設備で、排水管の曲点や合流部などに設置されています。一戸建て住宅であれば、敷地内のどこかに15cm程度の灰色のマンホールが設置されているので、トイレやキッチンなどで排水不良が起こった際には、まず排水桝を確認してみましょう。

排水トラブルが起こった際の確認手順

排水トラブルが起こった際の確認手順は以下の通りです。

①トイレや台所で排水トラブル発生

以下の様な場合は下水つまりの可能性があります。

  • 家の複数、または全体の排水口で排水トラブルが発生している場合
  • つまりの原因が明確でない場合
  • 排水設備に異常が見られない場合

②排水桝の確認

排水桝は敷地内に複数設置してあります。水設備の位置関係と照らし合わせて配管ルートを探り確認していきましょう。

③排水桝に汚物がつまっているかの確認

排水桝がつまっている場合、排水桝のつまりもしくは敷地内に敷設されている排水管つまりが考えられます。まずは、どの様なものがつまっているか確認し、更に原因部分を特定するために、つまりを確認した排水桝を中心として注意深く調査していきましょう。

また、排水管内部に汚物・異物が留まると下水のあふれや逆流を引き起こす管閉塞(かんへいそく)が発生します。排水桝のつまりを解消してもつまりが解消されない場合、管閉塞になっている可能性が高いので、その場合は排水管の清掃が必要になります。

ですが、自身では難しいと感じる場合には無理をせずに業者に依頼することをおすすめします。

下水の兆候を知っておけば下水つまりを防げる

下水の兆候を知っておけば、未然に下水つまりを防ぐ事が出来ます。

最も判断しやすい兆候は排水時の音で、水を流した際に「ポコポコ」と音がする場合には、排水管内部で下水がスムーズに流れなくなり、管内部の空気が押上られているので、下水つまりが起こる可能性が高いと判断できます。

よくある下水つまりの原因パターン

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下水つまりの原因は様々考えられますが、慢性的に下水つまりの症状が現れるのであれば、以下のようなパターンが原因と考えられます。

排水管内の汚れの堆積

慢性的な下水つまりを引き起こすのが、排水管内の汚れの堆積です。下水つまりの原因のおよそ80%を占め、下水を流しても正常に排出されず逆流などの症状を引き起こします。

原因は排泄物などの汚物だけに限らず、油汚れや変質した洗剤、髪の毛等も汚れの堆積の元となっています。

対処法は、高圧洗浄機等による配管内部の清掃の他、薬剤の使用によるつまりの改などがあります。

植物の根による下水つまり

戸建て住宅で意外と多いのが植物の根による下水つまりです。

敷地内に植えられた植物の根が排水管と排水桝の継ぎ目から入り込むケースが多く、排水桝内の水分や栄養分により成長を促してしまい、ついには下水つまりを引き起こしてしまいます。

対処法は、植物の根の除去の他、場合によっては排水管の引き直しと排水桝の交換が必要です。

排水管の沈下による下水つまり

排水管の沈下によっても下水つまりが引き起こされます。

沈下する場所は、排水ますと排水管つなぎ目の部分であるケースが殆どで、つなぎ目から汚水が漏れ出し徐々に周辺の土を緩くし沈下していくので、下水つまりを引き起こすまでは時間がかかります。

対処法は、つなぎ目部分のモルタル補修の他、排水桝の交換が必要になる場合もあります。

排水管の破損による下水つまり

排水管の破損も下水つまりの原因の一つです。

排水管が破損する原因は、経年劣化の他、土中の水分量と振動が原因で破損する場合もあります。

振動の要因となるものは地震だけでなく、強風、自動車出入庫時の定期的微振動等も要因となり、老朽化した排水管の耐力が限界に達した時破損するようです。

対処法は、排水管の引き換えになりますが、地表から30~50cm程度に敷設されているので、比較的短期間で修理を行うことが出来ます。

排水管の勾配不良

排水管の勾配不良でも下水つまりは引き起こされます。

原因は単に施工不良等も考えられますが、排水管の破損同様土中の水分量と振動が原因となるケースが多く、排水管敷設の経年を重ねると引き起こされる故障の一つと言えます。

対処法は、排水管の破損同様引き換えによって解消する事が出来ます。

下水がつまった際の対処方

下水つまりの箇所 対処法
公共下水道 ・最寄りの自治体へ連絡
敷地内の排水桝 ・排水桝のつまりを解消する
敷地内の排水管 ・薬品で下水つまりを解消する
・真空式家庭用パイプクリーナーで下水つまりを解消する
・洗浄機で下水つまりを解消する

下水がつまった際の対処法は、つまった箇所によって対処法が異なります。

敷地内の排水管・排水桝がつまった場合は、その建物の所有者が直す必要がありますが、公共下水道がつまった場合は自治体の管轄になるので、まずはつまった箇所を特定するようにしましょう。

公共下水道がつまった場合

公共下水道がつまった場合は、最寄りの自治体に連絡することになります。

問合せ先は、自治体によって下水道課や土木事務所等異なっていますが、役場に連絡すれば対応してくれます。

また、工事日数は1週間程度見込んでおいた方が良いでしょう。

敷地内の排水桝がつまった場合

下水がつまった際の対処方

トイレやお風呂など敷地内の排水起こった場合には、まずは排水桝を確認するようにしましょう。確認手順に関しては以下の通りです。

排水桝の確認手順

確認手順 対処方法等
①下流の汚水桝から確認を行う

棒などで中をかき回してつまりの解消を試みる。

※汚水桝には蓋部分に「おすい」と表記されており、
塩化ビニール製蓋、もしくは鉄製の蓋のものとがあります。

②つまり個所発見 つまっていない枡に上流側から異物が入り込まないような処置をし、
つまっている枡の下流側から棒などでつついて異物を取り除く。
③つまりが解消しなかった 異物を取り除くことが出来なかった→専門業者に依頼
つまり個所が見当たらない→公共枡のつまりの可能性(自治体に連絡)

なお、汚水桝は多くの場合塩化ビニール製の蓋もので、蓋に2箇所の細い隙間があり、そこにマイナスドライバーを差し込み回す事で開くことが出来ますが、鉄製のものはマンホールフックという工具が必要になります。

敷地内の排水管がつまった場合

排水管

排水桝を確認して異常が見当たらない場合、排水管のつまりが考えられます。つまりの解消方法は以下ような方法があります。

なお、排水管のつまりに関しては、自分で直す事も可能になっていますが、専用の工具等が必要になることが多く、基本的には専門業者に依頼することをおすすめします。

排水管つまりを解消する方法

つまりの解消方法 注意点等
薬品 ・家庭用とプロ用があり、プロ用の方が効果が高いが取り扱いに注意(換気・ゴーグル等)
・薬品ごとに使用箇所が異なるので、使用箇所に適した薬品を選ぶ必要あり
・水酸化ナトリウム濃度1~2%の薬品が最適
真空式家庭用パイプクリーナー ・基本的に水に溶けるようなもの(トイレットペーパー)には有効だが、固形物や堆積した汚れの除去には不向き
・つまりの原因が特定出来ない場合は不向き
高圧洗浄機 最も効果的な解消法だが
・排水管清掃用のホースを購入する必要がある
・排水管の奥まで洗浄する必要があるので、テクニックが必要
・養生の必要がある
ので素人にはややハードルの高い方法

下水がつまる日常的な要因と予防方法

予防方法

下水のつまりは軽度であれば解消出来ますが、中度以上の場合には専門業者に依頼するほうが無難です。

そのため、下水がつまらないような対策は日頃から行っておくほうが賢明なので、ここでは場所ごとの下水がつまる日常的な要因と予防方法を紹介していきます。

また、汚水桝の定期点検の行い方も合わせて紹介したいと思います。

キッチン

キッチンでの下水がつまる日常的な要因と予防方法は以下の通りです。

原因 予防方法
○油分
・ドレッシング
・スープなどの汁物
・食べ残しや飲み残したものの油分
・なるべく流さないようにし、油分はなるべくペーパータオルで拭き取る
・拭き取れない場合は、一度三角コーナーから流す様にする
・油が浮いている茹で汁などの場合は、流した後に鍋数杯分のお湯を流す
・揚げ油等は固めたり、新聞紙等に染み込ませる
○残飯、食材ゴミ
・調理時の食材ゴミ
・残飯
・どんな細かいゴミでも三角コーナーで一度受けてから流す
・洗浄時は排水口のゴミ受けやトラップのフタを外さない事
・ゴミ受けやトラップの流れが悪くなってしまった場合は、極力外さずゴミを除去する事

トイレ

トイレでの下水がつまる日常的な要因と予防方法は以下の通りです。

原因 予防方法
一度に多くを流しすぎた ・数回に分けて流すようにする
・お掃除シート等も一枚づつ流すようにする
異物を流した ・トイレに流せないものは流さず除去する
(例)
-ティッシュ
-固形物(トイレットペーパーの芯、スマートフォン、プラスチックなど)
-嘔吐物

お風呂

お風呂での下水がつまる日常的な要因と予防方法は以下の通りです。

原因 予防方法
髪の毛 ・排水口に市販のヘアキャッチャーを取り付ける
○油分
・シャンプー
・コンディショナー
・粘度の高いものは油分が多いので、使用後にはなるべく多くお湯で流すようにする

汚水桝の定期点検方法

汚水桝

汚水桝の定期点検方法は、蓋を開けて汚物や泥等をスコップで除去をして行います。

蓋の開閉方法は蓋の種類によって幾つかありますが、概ね蓋に2箇所の細い隙間がある構造のものとなっており、そこにマイナスドライバーを差し込み回す事で開けることが出来ます。

スコップ等で溜まっている汚物や泥等を除去した後は、トイレ用のスポンジ等で汚水桝の中を洗浄していきます。この時、スポンジで取れない汚れがある場合には、先の尖ったもので配管を傷つけないようにこそげ落とすようにしましょう。

清掃する順番に関しては、必ず上流側から下流側に行うようにし、清掃後は同様に上流側から水を流し、水が汚れていないか確認してから蓋を閉めます。

また、汚水桝がトイレ、お風呂、キッチン等それぞれに用意されている場合には、同時に清掃すると効率的です。特に、キッチンの排水桝はつまりやすいので、トイレとキッチンは定期的に清掃する様にしましょう。

下水つまりを防ぐためにも定期点検はしっかり行おう

下水つまりの修理費は

  • 軽度、中度:15,000円~50,000円
  • 重度:50,000円~100,000円

程度が相場となっています。

また、使用する機材や排水管の清掃・修理の長さによって料金が追加される事もあります。

経年劣化などの場合はしかたありませんが、下水つまりの大半は排水管内での汚れの堆積が原因となっているので、日頃から予防策を講じる事が重要だと言えます。

また、下水つまりが引き起こされる際には、まず排水桝で異常が起こるケースが多いので、排水桝の定期点検はしっかりと行い、合わせて清掃等も行うようにしましょう。

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