2024.03.17
汲み取り式トイレは、汚物が下水管を通って下水処理場へ流れていくのではなく、トイレに繋がる「便槽」にためるトイレです。
災害時でも使用できるなどのメリットはありますが、臭いや衛生面が気になるといったデメリットもあります。
本記事では、汲み取り式トイレの仕組みや種類、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
また、水洗トイレへのリフォームにかかる費用相場や業者の選び方も、あわせて紹介します。リフォームを検討されている方は参考にしてみてください。
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記事の内容
汲み取り式トイレの仕組み

汲み取り式トイレは、便器の穴から排泄物が落ちて、便器の下にある便槽にたまっていく仕組みのトイレです。
排水物が下水道で流れていくわけではないため、便槽にたまった排泄物は、自治体から許可が出ている業者による、汲み取り回収が必要です。
便槽の大きさや、利用する家族の人数によって異なりますが、汲み取り頻度は2~3ヶ月に1度程度が一般的です。
通常は定期汲み取りになっている場合が多いですが、お盆などで親族が集まり、汲み取り式トイレの使用量が増えたときは、個別に依頼して汲み取ってもらう必要があります。
汲み取り式トイレの種類
汲み取り式トイレには、以下の3種類があります。
- 和式汲み取り式トイレ
- 洋式汲み取り式トイレ
- 簡易水洗トイレ
それぞれの種類の詳細について、以下で詳しく解説します。
和式汲み取り式トイレ

汲み取り式トイレといえば、和式汲み取り式トイレをイメージする方が多いでしょう。
便器が和式トイレの形で、便器の下に便槽がある一般的な汲み取り式トイレです。
地域のお祭りや、イベント会場などの仮設トイレでも、和式の汲み取り式トイレをよく見かけますね。
洋式汲み取り式トイレ

洋式汲み取り式トイレは、見た目は水洗の洋式トイレと同じですが、他の汲み取り式トイレと同じく、排泄物を便器下の便槽にためています。
見た目は水洗トイレと同じですが、洗浄に水を使用しないため、ウォシュレットなども使用できません。
和式汲み取り式トイレよりも、使用時の腰への負担が少ない点は、メリットでしょう。
また、洋式汲み取り式トイレでは、便器と便槽の間に弁がついていて、便槽からの臭気を抑制できるタイプが多いようです。
簡易水洗トイレ

簡易水洗トイレは、名称に「水洗」と付いていますが、仕組みは汲み取り式トイレと同じです。
簡易水洗トイレは、便器と便槽の間に弁が付いているため、臭気を抑えられるメリットがあります。
しかし、排泄物を便槽に流す際に水を使用するため、他の汲み取り式トイレよりも、便槽が満タンになるのが早く、汲み取り頻度が上がるデメリットがあります。
汲み取り式トイレのメリット・デメリット

汲み取り式トイレは、臭いがキツイなどのデメリットのイメージが先行しますが、もちろんメリットもあります。
汲み取り式トイレのメリット・デメリットを詳しく解説するので、汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォームを検討されている方など、ぜひ参考にしてください。
汲み取り式トイレのメリット
汲み取り式トイレの主なメリットは、以下の4つでしょう。
- 設置費用が安い
- つまりの心配がない
- 下水道が整備されていない地域でも設置できる
- 災害時でも使用できる
それぞれのメリットについて、下記に詳しく解説します。
設置費用が安い
これから新規でトイレを設置する場合、汲み取り式トイレは、下水道工事を伴わないため、設置費用が水洗トイレと比べて安く済みます。
排泄物を流すための水を使用しないため、水道代もかからず、ランニングコストも安く済みます。
ただし、汲み取り式トイレの中でも、簡易水洗トイレは排泄物を便槽に流すのに水を使用するため、水道代がかかるうえに、汲み取り頻度も上がってコストが増加します。
つまりの心配がない
汲み取り式トイレでは、排水管がないため、トイレがつまる心配がありません。
そのため、つまりの修理費用を考える必要もない点は、汲み取り式トイレのメリットといえるでしょう。
下水道が整備されていない地域でも設置できる
汲み取り式トイレは、下水道が整備されていない、農村部や山間部、キャンプ場などでも設置できる点がメリットです。
災害時でも使用できる
汲み取り式トイレの大きなメリットは、災害による下水道の破損や、停電・断水の影響を受けずに使用できる点でしょう。被災地における避難所などでも、汲み取り式の仮設トイレが活躍します。
ただし、すでに設置されている汲み取り式トイレが地震などで崩壊すると、便槽にたまっていた排泄物が飛散する、悲惨な状況を生み出す場合もあります。
汲み取り式トイレのデメリット
汲み取り式トイレのデメリットには、下記の5つがあります。
- 臭いが酷い
- 衛生面が不安
- 害虫が湧きやすい
- 汲み取り費用がかかる
- 便槽に落ちる危険がある
それぞれの詳細を、以下で解説します。
臭いが酷い
汲み取り式トイレの大きなデメリットが、臭いの酷さです。
排泄物が便器下の便槽にたまっているので、どうしても臭気が上がってきてしまいます。特に気温の高い夏場は、たまっている排泄物の発酵も進み、臭いが強烈になります。
便槽と便器の間に弁が付いているタイプの、洋式汲み取り式トイレと簡易水洗トイレであれば、多少臭気を抑えられますが、それでも水洗トイレ比べると気になるでしょう。
衛生面が不安
汲み取り式トイレの中でも、特に和式タイプでは、便器と便槽の間に弁がないため、使用時に便槽内の汚物が跳ね返ってくる場合があり、衛生面に不安があります。
臭気と衛生面のデメリットから、水洗トイレへのリフォームをされる方も多いようです。
害虫が湧きやすい
汲み取り式トイレでは、便槽の臭いに誘われて寄ってきた害虫(ゴキブリやハエなど)が、便槽内の排泄物に卵を産みつけるケースが多くあります。
便槽で卵からかえった害虫が、便器から出てきてトイレ内で遭遇するのも珍しくないため、汲み取り式トイレのデメリットの1つといえるでしょう。
特に夏場は、害虫の発生率が高いようです。
汲み取り費用がかかる
汲み取り式トイレはランニングコストが安いと思われがちですが、実はそうでもありません。便槽のサイズにもよりますが、1回の汲み取り費用は2,000円~3,000円ほどかかります。
また、汲み取り頻度は、日常的に使用する家族の人数によって変わりますが、2~3ヶ月に1度の汲み取りが必要です。3ヶ月に1度の汲み取りでも、年間で8,000円~12,000円の費用がかかります。
また、簡易水洗トイレの場合は、汲み取り頻度が上がるので、仮に毎月汲み取りが必要となった場合は、年間で24,000円~36,000円の汲み取り費用がかかります。
一般的な水洗トイレと比べると、単純にトイレのみにかかるランニングコストとしては、高いといえるでしょう。
便槽に落ちる危険がある
汲み取り式トイレは、簡単にいえば、便器の穴から便槽へ排泄物を落としています。
そのため、この穴から人が便槽へ落ちる危険があり、実際にそのような事故も過去に発生しています。特に、小さい子どもや、足腰の弱い高齢者などが、うっかり足を滑らせて落ちてしまう可能性があります。
この「落ちる危険性」は、汲み取り式トイレの大きなデメリットなので、汲み取り式トイレを使用している場合は、早急に水洗トイレへリフォームした方が良いでしょう。
汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォーム費用相場

汲み取り式トイレから、水洗トイレへのリフォームにかかる費用相場をまとめました。
一言で「水洗トイレ」といっても、以下の3つのタイプがあります。
- 簡易水洗トイレ
- 下水道直結型水洗トイレ
- 浄化槽設置型水洗トイレ
各タイプの水洗トイレへのリフォーム費用相場について、以下で詳しく解説するので、参考にしてください。
簡易水洗トイレへのリフォーム費用相場
簡易水洗トイレは、トイレ使用後に水で流す「水洗タイプ」にはなりますが、基本の仕組みは汲み取り式と同じです。
簡易水洗トイレは、下水道を使う水洗トイレと比べ、工事難易度が低いため、30万円~60万円程で水洗トイレへリフォームできます。
ただし、簡易水洗トイレへリフォームしても、引き続き汲み取りは必要なうえ、汲み取り頻度はむしろ上がってしまうのでご注意ください。
下水道直結型水洗トイレへのリフォーム費用相場

下水道直結型水洗トイレは、いわゆる一般的な水洗トイレです。便器の排水管を下水道へ繋げて、排泄物を下水処理場へ流します。
下水管工事が必要なため、簡易水洗トイレへのリフォームよりも費用がかかり、相場は60万円~100万円です。
しかし、汲み取り式トイレのデメリットである、臭気の酷さや衛生面の不安、不快な害虫、落下の危険性から解放されるため、決して高くはないでしょう。
浄化槽設置型水洗トイレへのリフォーム費用相場

汲み取り式トイレと似て非なるトイレに、浄化槽設置型水洗トイレがあります。
似ている部分は、排泄物を浄化槽に「ためる」点ですが、非なる点は、たまった排泄物を汲み取るのではなく、浄化槽で処理して排水されます。
浄化槽設置型水洗トイレは、汲み取りトイレ同様、下水道の整備がされていない地域でも設置できる水洗トイレです。
しかし、浄化槽設置は大規模な工事になるため、リフォームには100万円~180万円程の費用がかかります。
汲み取り式トイレのリフォームを頼む業者の選び方

- 施工場所の自治体での「水道局指定工事店」の登録有無
- 見積り明細の作成有無
- PL保険加入の有無
例えば、東京都で工事を行う場合は、東京都の水道局指定工事店登録がないと施工できないため、他の県での登録しかない業者はNGです。
また、見積りが「○○ 一式」などの場合は、注意してください。明細のない見積りでは、必要な施工の有無が不明なうえ、価格が相場以上に引き上げられている可能性もあります。
さらに、万が一トラブルが発生した場合の対応についても、確認が必要です。トラブル発生時に、きちんと対応してくれるかどうかの判断基準の1つに「PL保険への加入」があるので、確認しましょう。
くみ取りから水洗への改修は、地域の規制と補助金制度を確認しましょう。
汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォームに使える補助金

自治体によっては、汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォームにかかる費用を、助成してくれる場合があります。
ただし、市区町村単位の自治体が、独自に行っているため、対象条件や助成金額が異なります。
お住まいの地域の自治体で、水洗トイレへのリフォームに使える補助金があるか調べたい場合は、市役所などに尋ねてみると良いでしょう。
または、「〇〇市 水洗便所改造等資金助成制度」などの言葉で検索してみると、市のホームページの該当ページがヒットする場合があります。
汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォームをしたいなら
汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォームは、水道局指定工事店でないと施工が認められていません。
そのため、リフォームを希望する場合は、お住まいの地域の水道局指定工事店へ依頼する必要があります。
水道修理業者の探し方が分からないときは、『水道修理のセーフリー』の無料コンシェルジュへご相談ください。
電話・メール・LINEの中から、好きな方法でご相談いただけ、お住まいエリアの水道修理業者を年中無休・無料でご紹介いたします。
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汲み取り式トイレに関するよくある質問
-
汲み取り式トイレにはどんな種類がありますか?
汲み取り式トイレには、以下の3種類があります。
- 和式汲み取り式トイレ
- 洋式汲み取り式トイレ
- 簡易水洗トイレ
簡易水洗トイレは、名前に「水洗」と付いていますが、仕組みは汲み取り式トイレと同じです。
-
汲み取り式トイレのメリットは何ですか?
汲み取り式トイレには、以下の4つがあります。
- 設置費用が安い
- つまりの心配がない
- 下水道が整備されていない地域でも設置できる
- 災害時でも使用できる
災害時でも使用できるのが、大きなメリットです。
-
汲み取り式トイレのデメリットは何ですか?
汲み取り式トイレには、以下の5つのデメリットがあります。
- 臭いが酷い
- 衛生面が不安
- 害虫が湧きやすい
- 汲み取り費用がかかる
- 便槽に落ちる危険がある
特に、落下の危険性は生命にも関わるため、水洗トイレへのリフォームを強くおすすめします。
-
汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォーム費用相場は?
汲み取り式トイレから、水洗トイレへのリフォーム費用相場は、以下の表を参考にしてください。
水洗トイレの種類 リフォーム費用相場 簡易水洗トイレ 30万円~60万円 下水道直結型水洗トイレ 60万円~100万円 浄化槽設置型水洗トイレ 100万円~180万円 簡易水洗トイレは、排泄物を水で流す水洗ではありますが、便槽にためるため、汲み取りは必要です。
-
水洗トイレへのリフォームはどこへ依頼すればいいですか?
汲み取り式トイレから、水洗トイレへのリフォームは、お住まいの地域の水道局指定工事店へ依頼してください。
水道局指定工事店を探せない場合は、『水道修理のセーフリー』の無料コンシェルジュへご相談ください。

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